「なんで俺に言ってくれないんだろう…」
心の声が声になって零れる。
『本当は澪はデビューを目指してないって思ってるのか?』
まっすぐで優しい良基さんの目が俺を見る。
この人には敵わないな、となぜかふと思った。
「一緒にデビュー目指すって俺に言ってくれたときは、それが澪の本当の気持ちだったと思います。
でも今もその気持ちを持ち続けてくれてるのかって考えたら…ちょっと自信なくて。」
『バンドを辞めずにいることが何よりの答えだと思うけど?』
「…そうかな。」
心変わりを言い出せずにいるだけではないか。
1度言ってしまったから、言い出しづらいのではないか。
どうして俺はこんなにも澪を疑ってしまうのだろう。
『お前らまだ付き合い始めたばっかだろ?そんなんで大丈夫かよ。』
「そんなんって…?」
『もっと信じてやれよ、澪のこと。お前が守るんじゃなかったのか?』
何もかも見透かされているようなこの人には、やっぱり敵わない。
俺が澪を信じてやらないでどうする。



