「よーっし!これでOKだな!」
事務所やラジオ局に送るべくデモとバンドのことを詳しく書いた資料をまとめ終え、全員がホッと一息つく。
『どこかに引っかかるといいな。』
誠太がポツリと呟き、仕上がったばかりの封筒の山を見る。
こうしてデモを送るバンドやアーティストの卵は星の数ほど居るだろう。
送ったって聴いてもらえるとは限らない。
開封されないまま捨てられるかもしれないし、いつまでも埃を被っているかもしれない。
それでも今、動くということに意味がある。
わずかでも可能性があるなら、そこに全てを懸けたい。
「俺、今から郵便局行ってこれ出してくるわ。」
『え?もう閉まっちゃうんじゃない?』
出すなら早い方が良いと思い、封筒を持って立ち上がると澪が心配気に聞いた。
「急げば間に合うよ。そんで俺今日はそのまま帰るわ。」
『よろしくな。』
『気を付けてね。』
俺がこれから郵便局に行くと思い込んでいるメンバーに見送られスタジオを出ると、外はもう暗くなり始めていた。



