何度でも、伝える愛の言葉。


昨日のスタジオで、皆が同じ方向を向いたと思えたあの瞬間に澪は心から笑ってはいなかった。

出会ったときの、バンドに入る前のあのときの澪がそこに居るような錯覚を覚えた。


人を信用してないような目。


あの寂しそうで、孤独を湛えた瞳。


友達という枠では収まりきらない“メンバー”という不思議な存在。

俺にとっては、彼女というとてもとても大きく大切な存在。


メンバーとしては、悟や悠斗や誠太と同じように澪とも打ち解けていると思っていた。

彼氏としては、澪の過去や傷も受け止めていると思っていた。

好きだという気持ちもちゃんと伝わっているはずだし、辞めようとしていたピアノだって今も弾いてくれている。


初めて会ったあの日からは想像もできないくらい、順調に日々を重ねてきたと思っていた。


なのに、どうして……


どうしてまだ、あの目をするのか……。



「澪…。」


掴めたと思ったはずの手が、指の隙間からすり抜けていくようだった。