『今の兄貴があるのは、あれだけ練習したからなんだよな。いっぱい練習したからってデビューできるとは限らないけど、デビューできた人はすげぇ練習したんだよ。
…俺らって、本当に本気で練習してんのかな?』
1番能天気に見える誠太が、こんなことを考えていたなんて思いもしなかった。
本当に、本気で練習しているか。
もちろんしていると思う。
思うけれど、俺も悠斗も最近は澪や灯里ちゃんのことを考えることが多いし、誠太自身も彼女のことばかり言っている。
『結局俺も彼女が1番大事だって言ってんだから説得力ねぇんだけど。』
それは本人も自覚していることなのか、自嘲気味に言う誠太の姿に俺や悠斗や澪の姿も重なる。
『俺はしてるよ、本気で。練習も曲作りも。そう胸張って言える。』
悟だけが自信を持って言う。
音楽に集中したいからと彼女も作らずスクールに通いひたすら努力している。
悟が曲を作ってくれることに甘えて、俺たちは曲作りの勉強さえしようとしていない。



