『…ごめんね、ほんとにごめんね。』
質問には答えず、灯里は涙を流しながら謝るのみだ。
「俺、怒ってないんだ。本当に。
ただどうしてたのか、なんで居なくなったのか、灯里の口から聞きたいだけなんだ。」
『悠くん…』
それは本心だった。
最初は戸惑ったけれど、怒りという感情は湧いてこなくて、灯里のことがただ気になっていた。
『お父さんが元の職場に戻ることになって、家族で茨城に帰ったの。』
「そうだったんだ。」
『私は東京に来れて嬉しかったけど、お父さんもお母さんもそうじゃなかったみたいでね。うまく行かなかったんだ、いろいろと。』
毎日一緒に居て、分かり合えている気がしていたけれど、それはただの勘違いだったのだろうか。
『そのことを、悠くんにはどうしても言えなかった。』
涙はもう零していなかった。
何かを諦めたように話す灯里が、全然知らない人のように思えた。



