ステージに出ると思っていたよりもずっと大きな歓声を受けて、知らず知らずのうちに自分たちへの期待が高まっていたのだと実感する。
灯里は会場の後方で壁にもたれかかるようにして立っていた。
本当は、ステージに立ってたったひとりの為に演奏するなんてバンドマン失格だと思う。
聴いてくれるファンのために、会場に来てくれた人全員に届けるよう演奏しなければいけない。
そんなことは分かっている。
だけど、今日だけは………
『Refrainでした!ありがとうございました!』
ライブ終了を告げる樹季の声がフロアに響き、全員で深くお辞儀をする。
顔を上げて灯里の方を見たが、人に埋もれてしまい表情を確認することはできなかった。
『すげーよ!盛り上がり今までで1番だったんじゃね?』
ステージを降りると誠太が興奮気味に言う。
『俺もめちゃくちゃ手応え感じてる。』
冷静に話しているような悟の表情も充実感に溢れていた。
ライブはかなり盛り上がった。
観客のノリが良く樹季の声もよく出ていた。
全員が練習の成果と今できる全てを出し切ったと思う。
これで結果が付いてくれば…。



