手を繋いで、スタジオからの帰り道を歩く。
いつも見ている景色も、いつも感じている空気も、手を繋ぐだけで特別なことのように思えてくる。
“いつか失ってしまうかもしれない”と思うのは、隣に大切な人が居るからこそ。
失うことへの恐怖に怯えるのではなく、隣にいる大切な人を無条件に想っていたい。
『あいつらに報告しないとなー。』
「うん、そうだね。ビックリするかな。」
『どうだろ。俺が澪のこと好きだって気付かれてたっぽいから。』
「え、そうなの?」
さすが、長く一緒に居るメンバーだ。
そのとき、ふと頭をよぎる。
「そういえばさ、悠くんが決めたルールって…。」
“バンド内恋愛禁止”
それが私が入ったときに悠くんが決めたルールだ。
『あー、それなら大丈夫。いろいろあって撤回された。』
「撤回?全然知らなかった。」
『うん…』
樹季くんは曖昧に頷いてごまかそうとしたけれど、ごまかしきれていない。
「何か、あったの?」
手を握る力が強くなる。
握り返される力も、強くなる。



