君とあたしの距離

そういえば今まで、恋なんて考えたことなかったな。
葉月は好きな人とかいるのかな?

「ねぇ、葉月。
葉月って好きな人とかいるの?」

「え!?
んー、今はまだいないかなぁ。
桃亜は?」

葉月はあたしがいつも聞かないようなことを聞いたからか、一瞬驚いた顔をしてあたしに聞いてきた。
興味津々の表情で。

「あたしもいないよ」

「はぁ!?
笹峰、池上と付き合ってないのかよ!!?
オレてっきり二人は付き合ってたのかと・・」

う、うるさい・・。
さっきまでザワザワしていた教室は一瞬にして静まり返った。
そして、あたしたちにみんなの目線が集まった。

何故だかあたしと勇人は付き合ってる、そう思ってる人が多いらしい。
中学の頃葉月に理由を聞いてみたことがあったがそれはお互い名前呼びにそのうえ一緒に登下校しているからだそうだ。
でも実際には違う。

「あたしと勇人は付き合ってないよ。
勇人とは幼馴染で家な隣なの。
だから一緒に登下校してるの」