『明日行くんだ』
もうすっかり日も落ちて、辺りが暗くなり始めた頃…
壱の自転車に2人乗りをしていたら、前に座る壱がそう言った。
「……は…?」
『ごめん、急で。』
……な、あし、明日!?
「ふざけんなテメェ!!」
(どこぞのヤンキー)
『やめっ…転ぶ!!
死ぬ!!』
壱の背中を掴んで、グラグラ揺らす。
「明日って…!!」
実感が湧かない。
なのに、泣きそうになる。
『ごめん、言わないつもりだったから。
美羽から離れてから行った方が楽かなって』
風によって
壱の柔らかい金髪から
良い香りが運ばれてくる。
「……………」
わざと、あたしから離れて
あたしのこと
忘れようとした…
けれど
想いが通じてしまった今、
お互い苦しむ。
離れなければいけない。
束縛も出来ない。
いつ帰ってくるか
分からない人を
想い続けられる自信
帰ってきて
別の誰かと
結ばれていたとしたら
壱は
どんな顔をするだろう