京司が音緒さんに、
"別れてやる"

そう言ったの…?






『で、石橋とそのデカい男が取っ組み合いみたいなのしてて…それからは分かりません』


佐々木君は言った。





あたしの頭は、佐々木君の言葉をジワジワと飲み込んでいく。





「…それ、いつの話?」


あたしの問いに、佐々木君は、





『一昨日です』




一昨日………

だから京司は、あんなに元気が無かったの?



でも…京司の元気の無さは、もう少し前からだ。




あたしが壱と話すために公園へ向かう時も、京司は寂しそうだった。



あたしに飴をくれて、あたしの"元気無いね"という問いをはぐらかした。







…………京司…

何があったの?







『笹崎さんは…好きな人が居るんですか?』


佐々木君の質問に、胸がズキンと痛む。





壱の、もうあたしに向けてくれない笑顔が脳裏に浮かぶ。




いくら壱が、あたしを諦めると言ったって。


冷たくしたって…











「………居ます」








あたしの気持ちは、
変わらない。