きっと上手くいく


飛ばしすぎじゃね?この流れ。

背中に冷たい汗を感じながら
俺は頭の中を整理する。

一緒に暮らしてる千尋に子供がデキた
三ヶ月だという
彼女は産むという

そして相手は
俺か、この地味で小太りでイケてない公務員。

どっちが父親かわからないから
とりあえず
ひとりで育てるという話。

ないわー
何の冗談だよ。

てか
俺かこいつが父親?

こんな相手と二股かけられてた?
この俺が?

相手も同じ事考えてんのか、嫌な顔で俺の顔を見る。
うわぁ
眼鏡の奥の一重の目が性格わるそーだなおいっ!

「千尋ちゃん」
小太り男は俺を無視して千尋の手を握る。

「千尋ちゃんの気持ちはわかった。
でも、ずっと先の事を考えてほしい
子供には父親が必要で
僕は精一杯、お腹の子供と千尋ちゃんを大切にする。
こんなチャラけた男から離れて
僕と一緒に暮らそう。籍を入れよう
僕は戸籍係だから手続きは簡単だよ。
お腹の子供は僕の子だ。間違いない
僕は……」

「ウザいんですけどー」

俺はマトリョーシカの肩をド突き、ヤツを床に転がした。

「健ちゃん大丈夫?和也!暴力反対」
目を丸くして言う千尋を見て
やっぱ
こいつ可愛いと
我に返ってそう思う。