鍋が美味しく出来上がった頃
玄関からチャイムの音が聞こえ、俺はコンロの火を止めて扉を開くと
「あ……黒い」
『ただいま』より先に俺の顔を見て千尋が笑う。
久し振りの笑顔
何かを吹っ切ったような笑顔。
俺の黒髪を見てホストを辞めるって理解してくれた?
そしてやっと俺と結婚する決意ができた?
「似合う?」
「うん。似合う。いい匂いする」
「鍋にした。すぐ食べれるよ。今日は遅かったけど忙しかった?」
「ううん。仕事は早かったけど用事があって……あ、今日は鍋だって楽しみだね」
ん?
「おなかすいたー」
千尋が靴を脱いで部屋に上がったその後ろから
熊のような大きな影が続いていた。
「……おじゃまします」
大きな影は身体を小さく丸くし
申し訳なさそうな声を出し部屋に入る。
デブ!
どうして?
なんで?
どうしてお前が千尋と一緒に部屋に来るか?
驚いてたら
「まず……食べようか」
千尋が少し大きくなってきたお腹を撫で、俺にニッコリ微笑んだ。



