「とっても大切な友達です」

友達は山岸さんと千尋ちゃんしかいない。

大切な友達だけど
連絡がゼンゼン来ない。

あっちから見れば
もしかしたら僕なんてつまらない存在なのかな。
昔ならここでイジイジするけど
今の僕は千尋ちゃんのオープンな性格が移ったのか『まぁいいか』って気持ちになる。

ポケモンみたいに進化したよね。

「今年になってから……」
すぐ自分の席に戻るかと思った伊藤さんは席を立たず、僕の隣で落ち着いた声を続ける。

「石橋さん。また元気になった気がして」

「そうですか?」
自分では自覚がないけど

「表情が明るくなって……いい感じです」

いい感じって
どんな感じなんだろう。

「石橋さんを見て癒されてるんですよ私」

「そうですか?ペットのブルドッグに似てるとか?」

「それはないですよ」
笑った顔が年上だけど可愛らしく思う。

「心がギスギスしたりイジイジする事もあったりするけど、石橋さん見て癒されてます」

最近
課の女の子達が次々と結婚するから、仕事が増えて大変なのだろうか?

「僕も去年までイジイジと暗いヤツでした。今も暗いって言われてるけど」

「そんな事ないですよ」

「外見もそうですし」

自虐的に笑うと彼女は首を横に振る。