「なぁ。腹ごなしにボーリング行こうよ」
木下がグラスの水を一気飲みした後、そう提案した。
私以外の四人は、ノリノリ。
私は、やっぱり気が乗らない。
だって、ボーリングは苦手。
頑張ってもほとんど全部ガーター。
スコアには、Gが並ぶ。
いくら野球を知らない私でも、ジャイアンツファンみたいに並ぶGが恨めしい。
それに、誰が履いたかもわからない靴に履き替えるのも嫌。
音だって、やけに五月蝿い。
そんなボーリングに行ったって、きっとつまらない。
「な。行こうよ、紗智」
木下が、また私に訊く。
そして、私は同じように笑顔を浮かべる。
「いいね。ボーリング」
なんて……。



