私の前に、えぴピラフが置かれた。
みんなは、パクパクと自分の注文した物を食べている。

私は、三口、四口食べて溜息。
全然スプーンが動かない。

ぼうっとピラフを見ていたら、向かい側から視線を感じた。

美砂が、私を見ている。

何を食べたいか、自分で考えて選ばないから美味しくないんでしょ?

美砂の目が、そんな風に言っている気がした。

実際に美砂が言ったわけじゃない。
だけど、美砂は時々そんな目で私を見る。

そんな目って言うのは。
自己主張しないから、後悔するんだよ、って言う目。

実際に、美砂が言ったわけじゃない……。
一度だって言われた事なんか、ない……。

だけど。
私がここで何も注文しなかったら、場がしらけるでしょ?

野球だって。
私だけ観に行かないなんて言ったら、感じ悪いでしょ?

自己主張は、しないけど。
気は、遣ってるつもり。

いつまでも進まないピラフを睨んでいたら、隣から木下の視線を感じた。

「……なに?」
「ん? もう食わないなら、俺食いたい」

木下は、子供みたいに笑顔で催促する。

私は、どうぞ、と。
まだたくさんピラフが乗っている皿と、木下の綺麗さっぱり完食された空のお皿を取り替えた。