「いつも。さっきみたいにすればいいのに」
木下の言っているさっきが、いつのどの事をさしているのかわからず、首をかしげた。
「お茶。好きなんだ」
「うん」
さっき、似たような事言わなかったっけ?
「迷わずお茶のボタン押すみたいにさ。他の事も自分で決めて、そうしたらいいのに」
「……え?」
何を言い出すのか。
言いたいことは、なんとなくわかるけど。
心が理解することを拒むように表情を歪ませた。
「野球も、飯も、ボーリングも」
木下は、コーヒーの缶を親指と中指だけでつまみブラブラさせる。
「俺たち、友達なんだしさ。野球に興味ないならそう言えばいい。その時は、他に一緒に楽しめること考えるし。食欲わなかなら、遠慮しないで飲み物だけだっていい。ボーリング苦手なら中山や俺に投げ方訊いてくれたっていい」
木下は、まるで目の前に明るく広い草原でも広がっているみたいに、私に話しながら眩しそうな目をした。
その先には、田口と美砂が楽しそうにゲームを続けていて。
中山は、地味ながらもコインゲームのコインを稼いでいた。



