選んだのは



ボーリングを始めて三十分。
案の定、私のスコアにはGがいっぱい。
自分の番が来るたびに情けなくて溜息が出る。

中山と木下は、絶好調で、まるで二人の対決合戦のよう。

あと、ワンフレームでゲーム終了。

Gばかりのボーリングなんて、早く終わらせて帰りたい。
どうにでもなれというように、私は重いボールを転がした。

ゴロゴロゴロと力のない私が投げたボールは、鈍い音を立ててゆっくりと転がっていく。
ふらふらとレーンの上を心もとない転がり方だ。

そのふらふら転がっていたボールが、いつの間にか中心へと向かいカツンと真ん中のピンに当たった。
すると、スローモーションのように後ろのピンたちが次々と将棋倒しになっていく。

結局、十ピン全部倒れた。

「あ……」

私が、倒れたピンたちを見て声を漏らすと。

「スゲー」
「うっそ」
「凄いっ」
「マジでー」

四人それぞれ驚きの声をあげた。

当の本人よりも、びっくりした顔で固まっている。

「紗智っ!! やったじゃんっ!」

木下は、ぴょんひょん跳ねるように近づき、片手を上げてハイタッチを求めてくる。
私は、その勢いに飲まれパチンと木下の手に手を合わせた。

それに釣られるように、他の三人も次々ハイタッチしてくる。
気がつけば、みんなと笑いあっていた。

ボーリングって……案外楽しいのかも。