二日前 15時37分44秒 東武東上線 小川駅-東武竹沢駅区間寄居駅電車内

「久しぶりだな、この景色、まさかまた寄居村に戻るとは…」

そうつぶやく田宮は、長旅の疲れを少しでもとろうと眠りにつく。

『まもなく、鉢形、鉢形、お出口は右側です』

そのアナウンスを聞き、進行方向の右側のドアに降りる用意をする。
そしてホームに着くとドアの目の前に見覚えのある長い髪の女が立っていた。
「ふふふ」っと不気味な笑い声をし、すーっと消えていく。
空は薄暗く霧雨が降っている。
「あの日のようだ、10年前、喜代と俺がまだバカやってた頃に起きたあの儀式の日みたいだ…」