「行ってきまーす!」
「気をつけてね~」
玄関で、ママの声を聞いてからドアを開けた。春の暖かい陽射しが気持ちいい。
今日も1日頑張ろう!
っていつも思わせてくれる。
「みゆー!!」
「彩ちゃん。おはよ」
「おはよ~♪」
「あれ? 今日蓮くんは?」
蓮くんは、親友の彩ちゃんの彼氏さんで1年前の中2の時から付き合っている。
「今日から、朝練始まったんだって。まぁ、野球部練習キツいって言われてるしなあ…」
「そっかあ…残念だね…」
「あ、そうだ。明日から、一緒に学校行かない?」
「いいよ~!!」
彩ちゃん、私大好き。
しっかりしてて、優しいとことか、頭のいいとことか。あとすごく美人さんなとこも!
「あ、龍だ」
「えっ?」
彩ちゃんが指差した方向を見ると、私の好きな人…龍が、女の子に告白されてた。
「まだ好きなの? 幼稚園から好きって、ヤバくない?」
「い、いいじゃん。幼馴染みっていうか…」
そう言いながら、こっそりと龍のことを見た。この距離だと、会話も聞こえるかも…。
「龍~。ねぇ、いいじゃん。私と付き合ってよ。私ならなんでもしてあげれるしさあ」
あ、あの人は6組の春日さんだ!
結構男たらしで、夜遊びとかしてるって噂の…。
春日さんのスカートはすっごく短くてYシャツのボタン、何個も開けてる。
メイクも濃いし…これがチャラいって言うのかなあ?
「ねえ龍聞いてる?」
「ごめん春日。俺、お前を女として見れねえわ。ただの友達としか」
「どういうこと?」
「タイプじゃないってこと」
「龍のバカ!!」
春日さん、振られちゃった…。
「へぇー。龍、ああいう子、好きじゃないんだ。いつも絡んでるから、すきかと思った」
「いつも廊下で喋ってるもんね」
龍は、金髪のヤンキーくん。
中学校に入ってから、金髪に染めたみたい。
そして、龍はイケメンだからすごくモテる。他校の子とか、放課後告白しに来たりしてるの、見たことある。
…はぁ。こんな私が、告白してもダメだよね。
龍とは、中学校に入ってから会話すらしてないし。
あんなに、仲良しだったことも、もう覚えてるわけないよね……。
