私、春田汐留(はるたしお)の好きな人は…

同じクラスで幼なじみの松下港。

明るくてかっこよくて、人気者の港。

家も席も、隣同士の私たち…

気づいたら港に恋してた。
だけど、近すぎて恋愛対象にはいらないと私は思っていた。

だから、『俺の彼女になってもいいよ?』って言われたとき、驚いたんだ。

でも、嬉しくて…
私は大きく頷いていたー…

なのに…

「汐留、課題やり忘れた。写しといて」
「汐留、喉乾いた。ジュース買ってきて」
「汐留、暑い。下敷きで扇いで」

もう…。

「汐留…」
「こんなの彼氏&彼女じゃなぁぁぁい!!」

私の声は教室の机に足を乗っけて口を開いた港の声と重なった。

彼氏彼女って、もっとこう…、ラブラブするものじゃないの?

こんなの彼女じゃなくて…
「やだぁ港☆そんなのただのパシリじゃん☆」

港の隣にいる女の子たちが私の方をちらちら見ながら言ってくる。

そのうちの一人が、港の腕に胸を押し付けるようにして抱きつく。

「なっ!?」
港はとにかくモテる。
本人のチャラいのもあるかもだけど、とにかく顔がかっこいい。

最初、港と付き合い始めた時なんて、港ファンの人から何発ビンタをくらったことか…

まあ、港には言ってないけどね。
「どーでもいい」って言いそうだから。

「こんなの彼女っていえるの?」

でもね。
「汐留…」
私が不安そうにしてると…

ちゅっ♪

みんなの前でも、キスして『大丈夫』っていってくれるんだ。

我ながら単純って本当に思うけど、でもそれで全部良くなっちゃうんだ♪

…重症?(笑)