階段をおりてリビングに向かうと
お母さんののんきな鼻歌が聞こえる。


「あら、朝日。おはよう♪」

笑顔で振り向くお母さんとは対照的に
私は真顔で おはよう。と小さく応える。


「あら、元気ないわねー
入学式だからって緊張してるの?
ちゃんと笑えないと友達出来ないわよ


ほら、笑顔、笑顔♪」


にこーっと口角をあげてみると
お母さんは「可愛くないわねー」と言って台所に向かった。


「どーせ。私は可愛くないわよ。」

私はきっとこれからもお母さんのようには笑えない。

それだけは、分かってる。

時計をみるとまだ学校に行く時間より全然早いけど、私は朝ごはんも食べずに
机のうえにおいて置いてあった自転車の鍵をとる。


「え!もう行くの?」


お母さんは驚きながら玄関までお弁当を持って来る。


「朝ごはんは?」

「いらない。」

私はそれだけ言うと、家を出た。