朝の眩しい光が
部屋のカーテンを通して私の顔にかかる。


目覚まし時計が鳴るよりも早く起きてしまった。

ゆっくりと起き上がって大きくのびをする。
ドアにハンガーでかけておいたまだ新しい制服をとる。


紺色のブレザーに赤いリボン
スカートは私の大好きなチェック柄。

胸元には桜が丘高校の白い桜の紋章。


ここら辺の公立では一番可愛いと言われている制服。


着てみると、まだ制服は体に馴染んでいなくて固い。

固い制服を着て、白いシュシュで髪を一つに束ねる。

学校指定の黒いバックを手に取ると

シャラン、と水色のストラップが揺れる。



「朝日なら、大丈夫だよ。」


あの声がまた聞こえる。
もうこんな幻聴に頼ってられないのに


大丈夫ってなに?
大丈夫なんて一番ひどい言葉だ。
大丈夫になるためには
大丈夫だよ、って言った人じゃなくて
言われた人が頑張らなければならない。


日向…

私は大丈夫なんかじゃないよ。

私が今まで大丈夫だったのは日向がいたから…


もう、忘れなきゃいけないのにどうしてもこのストラップだけはつけておきたい。
私は涙がでそうな心を必死に止めて部屋を出た。