「行く準備出来たの?」

「出来たよ」

「寂しいね」

「我慢ばっかりさせてごめんな」

私は首をブルブルと横に振った

「仕事だもん。仕方がないし。それに・・寂しいけど、健太はいつも私のこと思っていてくれるから・・・」

「俺はいつも亜美のことばっか考えてるよ」

「うん」

「一人になれば亜美、何やってんだろって考えるし、歌ってる時も亜美を思って歌ってるし」

そう思ってくれるだけで、嬉しい

「だから不安にならないでくれ」

「うん」

目頭が熱くなって、また鼻の奥が痛くなる。泣くと健太が心配してしまう…

「ごめんね。不安なのは私だけじゃないのに…」

やっぱり私は泣いてしまっていた

「帰ってきたらすぐ亜美に会いに来るから」

「うん」

健太に付いて行きたくなってしまう

「これラスト公演のチケット」

「くれるの?」

「家族とかが見る特別席で2階になるけど。由里ちゃんと優香ちゃんとおいで」

「うん、絶対行くね」

まだ先だけど、楽しみが一つ出来た