やさしい手のひら・中編【完結】

「健太くん昨日、仕事の邪魔してすいません」

「気にすんな。早く良くなって退院すれよ。祐介が心配でしようがないみたいだから」

「うん」

「私、短大行くから帰り、優香と寄るからね。なんか欲しい物ある?」

「うーん、プリン食べたいかなぁ」

「わかったよ。買って来るね」

「亜美、ほんとにありがと」

「もぉ、由里らしくないよ」

「エヘヘヘ」

「じゃ、行くね」

「俺はまだここにいるから」

祐介くんが残ってくれるということで安心して帰れる

私は、祐介に由里のことをお願いして病院を出た

短大の前に車が止まり、

「すぐ寝るんだよ」

「寝るよ。俺、今日は夕方から撮影だから」

「うん、わかった。何時に終わるの?」

「まだわかんねぇな」

「そっか。私は由里のとこに行ったら、帰るから」

「気を付けて帰れよ」

「うん。じゃあね」

「待って」

「うん?」

健太は私を抱きしめた瞬間、健太の唇が私の唇を塞いだ

「もぉ」

「元気出た」

フッと大好きな笑い方で私を見た

「行ってくるね」

「おぉ」

私は車から降り、車が見えなくなるまで健太の車を見ていた