やさしい手のひら・中編【完結】

私は新くんの車に乗っていた

外を見ながらさっきの健太の歌を思い出していた

「ずっと連絡ないの?」

「う…ん」

「いつから?」

「ツアーに行く前の日から…」

「突然?」

「朝は普通で短大の前で別れたのが最後。その夜は帰って来なかった…」

「仕事で帰って来なかったんだろ?」

ううん、私は横に首を振った

「はあ?なんだそれ?」

「早く帰って来るって言ったのに…帰って来なくて。朝、ツアーの荷物取りに来た時はもう…別人だった」

また思い出す。健太の冷たい目付きを…

「いきなりかよ。思い当たることないの?」

「…」

「あるのか?」

はっきりしていないけど佐原樹里が言ったことが本当ならあの夜2人は一緒にいたはず

それを新くんに言っていいのか悩んでいた