「こんなに好きになるとは思わなかった」

新くんはもっと強く私を抱き締めた

「なんでだろうな。人の女なのに…」

人の女…

私は健太の彼女なのに、隣には彼氏じゃない新くんがいる

そして私の看病をしてくれている

「なぁ?」

「何?」

「いや、なんでもない」

「…」

「寝る。寝るぞ」

新くんが何か言い掛けたけど、私は何も聞かなかった。何を言われても答えられないから…

新くんは私を解放して背中を向けた

だから私も背中を向けた。お互い逆を向き、二人の間に風が通る

これでいいんだ

私はそのまま眠りについた

健太の電話も忘れたまま…