やさしい手のひら・中編【完結】

「うっ・・・ん」

ゆっくり目を開けると天井が見えた

あ・・ここホテルの部屋

私は首だけ動かし周りを見た

「新くん・・・」

「大丈夫か?」

「私・・・」

「撮影終わった瞬間倒れて・・・」

私、倒れたんだ

「暑さでやられたのと、お前朝も昼も飯食べてなかっただろ?そういうのが重なったみたいだぞ。すんげー心配した」

私の頭をソッと撫でた

「私どうやってここに?」

「俺が抱えて連れて来たよ。重かったー」

あの胸は健太じゃなかったんだね・・・

「健太はお前の所には来なかったよ」

「・・・」

そうだよね。仕事中だったし、あの場で私の所に来ても怪しまれるだけだもんね・・・

「新くん、ありがと」

「今日はゆっくり休んだ方がいいよ」

「うん」

♪♪♪~

私の携帯が鳴っている

起き上がって取ろうとしたら

「出るな」

「だって鳴ってる」

「健太だから出るな」

「でも出ないと・・」

「あいつはお前より仕事を取る男だ。亜美が倒れた時、誰よりも先に駆け寄るのが当たり前じゃないのか?」

「それは私達のことを周りの人が知らないから」

「だから黙って見てるのか?好きな女が倒れているのに俺はそんなことは出来ない」

携帯の音が止まってしまった

部屋の中が静かすぎて波の音だけが聞こえていた