やさしい手のひら・中編【完結】

午前の撮影も終わり、昨日と同じロケ弁をスタッフからもらい、昨日の木の下へ行こうと思っていたら

「亜美」

そう呼ばれ振り向くと健太がいて

「おいで。こっちで食べよう」

とグイッと私の右手首を掴んだ

「痛っ」

後ろにいた新くんも私の左手首を掴んでいた

「新、亜美の手離せ」

「俺、今日も一緒に亜美と食べるんだけど」

2人は睨み合い、お互い私の手を離さない

どうしよう・・・

「2人共ちょっと待って…」

私は泣かないように息を飲み

「お願い…こんな所で喧嘩しないで…」

「じゃあ一緒に食べよう」

「え?」

新くんがニヤッと笑い私に言った

「お前何言ってるんだよ。お前が身を引けばすむことだろ」

「亜美が悲しい顔するなら3人で食べるのが一番だろ」

そんな3人だなんて…

「よし、行こう」

そう言ってズンズン歩いて行く 

「ムカつく奴」

仕方なく昨日の木の下に行き、3人でご飯を食べることになった