帰り廊下で新くんと会い、玄関まで一緒に歩いていた

「お前楽しみだろ?」

「なんで?」

「さっきから浮かれた顔してるぞ」

「集団でどっか行くなんて高校以来だから、ちょっと楽しみかな」

「ガキみてぇ」

「はいはい、どうせガキですよ」

また私をからかって楽しんでいる

「送って行くぞ」

「まだ明るいから一人で帰れるもん」

いつも送ってもらってばかりで悪いし、健太のことを考えるとやっぱり良くないと思った

「いいから行くぞ」

新くんが私の手首を掴み、私は

「大丈夫だから…あっ」

玄関前に健太の車が止まっていて、運転席から健太が降りて来た。そして私達の前に立ち、私の手首を見た

グイッ

新くんが掴んでいた私の手首を健太が取り戻し、私の手首を握った

「いつも亜美が世話になってるな」

健太は新くんを睨むように言った

「せっかく送ろうと思ったのに」

新くんも負けずと、睨み返す

「じゃあ、ロケでね」

私はこの雰囲気が嫌で新くんにそう言い、健太の手を引っ張ろうとした

「俺、亜美に好きだって言ったから」

新くんは真顔で真っ直ぐ健太を見て言った