やさしい手のひら・中編【完結】

「体は大丈夫なのか」

私は声が出ないほど泣いていて、ただ首を縦に振ることしか出来なかった

「ごめんな…赤ちゃんいること気付いてやれなくて…。俺があんな写真撮られてなかったら…流産しなかったよな…」

健太は拳を握った

「健太が…悪いん…じゃない。私が…しっかり…していなかったから…」

私は泣きじゃくりながら言った

「亜美が記憶をなくしたのも流産したのも、すべて俺のせいで亜美が苦しんだ」

「どうして…どうして…そんなに自分を責めるの…?」

「これ以上俺のせいで亜美を苦しめたくないんだ」

私は健太の腕を掴み

「私がいつ苦しいって言ったの!勝手に決めないで…健太が傍にいないことが私にとって一番苦しいことなんだよ…」

私は自分が思っていることをぶつけたんだ

健太はハッとして私の顔を見た

「もう…私が必要じゃない?私のこと嫌いになった?」

涙を堪えながら唇を噛み締め、真っすぐ健太の目を見た

グイッ

私の腕を引っ張り、顔を健太の胸に押しつけた

フワッと健太の匂いがする。久しぶりの匂いだった

「俺が亜美を嫌いになれると思うか?こんなに好きで好きでたまらないのに…」

私は健太の大きな胸でたくさん涙を流し、健太はそれを優しく包み込み抱き締めてくれた