やさしい手のひら・中編【完結】

「健太くんがね…亜美の病状どうだ?って」

健太…

「だから昨日、記憶を取り戻して今日退院して来たよって言ったんだ。凄く喜んでた。でもね…」

由里の声がだんだん小さくなっていく

私は由里が次の言葉を言うまで何も言わずに待っていた

「亜美に会いに来てって言ったんだけど…別れようと思ってるって…」

「そっか…」

「そっかって、亜美は別れたいの?」

「きっと健太には健太の考えがあると思うから…健太がそう決めたなら…」

唇を噛みしめた

「どうして?なんで別れなきゃいけないの?私はそんなの嫌だよ!」

由里は怒ってしまった

「うるせーよ」

由里の声で凌がドアを開け入って来た

「何騒いでるんだよ」

「健太くんが別れるって言ってるのに亜美、そっかとか軽く言うんだよ!」

「川崎さんが別れるって?」

凌は一瞬驚いたがすぐ真顔になり由里に聞いた

「それいつの話?」

「さっきの電話健太くんで…」

「亜美はそれでいいのか?」

「私は…」