やさしい手のひら・中編【完結】

-健太Side-

亜美…

どんな気持ちでテレビを見ていたんだ?

きっと、声を出して泣いたんだろう

俺の名前を呼びながら…

亜美が泣いている姿を考えると胸が痛くなる

お腹に子供がいる亜美が裸足のまま外に出たのは、もう自分で歯止めがつかなかったからだろ?
それだけ俺は亜美を追い詰めてしまったんだ

俺は亜美の傍にいたい
だから歌うことを捨ててもいいと思った

こんな仕事のために亜美が苦しむならすべてを捨てて、亜美の傍にいたいって思ったんだ

亜美が笑ってくれるなら、亜美が傍にいてくれるなら、何もいらない

そう思ったんだ

でもさっき、祐介達に亜美のために歌っていてって、言われた

亜美がそう望むなら俺は亜美の望み通り、歌っていたい

だから亜美の声を聞かせてくれ

俺を呼んでくれ

俺は亜美しかいないんだ

俺は亜美じゃなきゃだめなんだ