やさしい手のひら・中編【完結】

昔はいつも2人で自転車に乗っていて、まさか健太が運転する車に乗れるとは思わなかった

慣れない右側の席で私はおとなしく乗っていた

「俺んち行かねぇ?」

「あっ、うん」

2人きりだと、どうしても緊張してしまい、私は健太の話しも上の空だった

「おとなしいじゃん」

「そんなことないよ」

お互い会話が途切れてしまい、長い間離れていた壁を感じてしまった

回りを見ると高級住宅街で立派なマンションばかりだった

健太の車は地下の駐車場に入って行った

マンションの地下に駐車場があり、東京という凄さにびっくりしてしまった

「ここ?」

「うん、この上」

こんな立派なマンションに住んでいるなんて、健太はすごい人になってしまったんだ・・改めて思ってしまった

エレベーターに乗り、15階のボタンを押した

「15階なの?」

「うん」

「凄い景色いいだろうね」

玄関の前まで来て、カードで鍵を開けてくれた

「どうぞ」

健太に言われ、私はドキドキしながら部屋へと入った

「きれい」

健太のリビングから見える景色がとてもすばらしく、東京の街が一面に広がっていた

大きな窓できっと夜になったらもっと凄いだろう

「凄いねぇ」

毎日この景色を見れて、こんな所に住んでいる健太がうらやましかった

「いつでも見に来ていいよ」

「うん」

「亜美、こっちおいで」

私が景色を見ている間、私の好きなミルクティを作ってくれていた

健太はミルクティを好きなことを覚えてくれていた