やさしい手のひら・中編【完結】

夢なのかな…

私の左手がポカポカして温かかい

「亜美」

幻覚なのか愛しい声まで聞こえる。優しく私に声をかけてくれている

私はゆっくり目を開けた

目の前には心配そうな顔をして、私を見ている健太がいた

「健太…」

健太の顔を見た途端、私の目尻から涙が零れ落ちていく

「ごめ…んね」

ギュッと私の左手を握り

「玄関開けたら亜美が倒れてて…凄く焦った。抱えてベットに運ぼうとしたら体が熱くて。何しても起きないから、ずっと傍にいて手握ってたんだ…目覚ましてよかった…」

健太の優しさと会えた喜びで涙が止まらない

「私ね、健太のマンションまで…行った…の。でも電気付いてなくて…それで歩いて帰って…来て」

涙が次々と溢れ出てくる

「健太に…健太に会いた…かった」

「俺こそごめんな。電話くれてたのにかけなくて。電話じゃなく直接話したくて仕事終わって真っ直ぐ来たんだ」

「ううん。来てくれたから…健太が来なかったら私…倒れたままだった」

零れる涙を左手で拭ってくれる