やさしい手のひら・中編【完結】

新くんの胸が心地よかった

人は辛い時、悲しい時、温もりと優しさを求めるものなんだね・・・

傷ついた心にその優しさと温もりが染み込んでいく

甘えちゃいけないのに、私は新くんの胸で泣いていた

「大丈夫か?」

「ごめんね」

「健太となんかあったのか?」

「…」

「何があった?」

いつも私をバカした言い方じゃなくて、優しくゆっくり私に問い掛けてくれた

「私を探していたみたいで…」

「それで?」

「どこにいたんだって怒っちゃって。でもそれは私が連絡しなかったのが悪いから」

「俺のとこにいたこと言ったんだ?」

「うん…でも何も言わず帰っちゃって…」

思い出すとまた鼻の奥が痛くなりツーンとしてくる

「俺といたことが気に入らないんだろ」

「でも新くんは看病してくれただけなのに…」

「男と女が一晩一緒にいるっていうことは誰だって嫌だろ」

健太も看病でも女の人といるのは私も嫌だ

「あいつがこんなことぐらいでお前を捨てたりしないから心配するな」

そう言って私に微笑み、頭をクシャクシャと撫でた

「うん…」

「俺…」

「何?」

「いや、なんでもない。泣きたい時は俺の胸貸してやるよ」

新くんのマンションにいた時も何か言いたそうだった。そして今も話をずらした

でも言いたくないのなら無理に聞いてはいけないような気がした