やさしい手のひら・中編【完結】

朝、目が覚め自分の家ではないことに気付いた

新くんのマンションだ・・・

私はベットから起き上がり、リビングへ行ってみた

そこにはソファの上で丸くなって寝ている新くんがいた

私にベットを貸したせいで何も掛ける物がなく、この12月の寒さの中で新くんは縮こまって寝ていた

その姿に申し訳ない気持ちになり、寝室に戻り私は毛布を持ってきて新くんにソッと掛けた

熱も下がったようで昨日のようなだるさがない

お礼に朝食を作ろうと思い、キッチンに行き冷蔵庫の中を開け何を作ろうか考えた

「あったあった」

私は小さな声でブヅブツとしゃべりながら、新くんが目を覚まさないようにこっそりと作り始めた

ある材料なのでそんな豪華の物は作れないけど、軽くなら・・・

「あとはご飯が出来るのを待つだけ」

食卓テーブルの椅子に座り、私はじっとご飯が炊けるのを待っていた

おいしいご飯の匂いがしてきて、炊けてきたことがわかる

「うまそうな匂いする」

椅子に座っていた私の後ろに新くんが立っていた

「おはよう」

「うーん。朝飯作ってくれたの?」

「こんなことしか出来ないけど・・・」

「腹減ってるから嬉しいよ」

「もうちょっとでご飯炊けるから待っててね」

その時、私の後ろから手を回し額に手を当てた

「熱下がってるな」

「うん。調子いいよ」

「俺の看病のお陰かな」

「新くんのお陰だよ。ほんとに感謝してる」

私は心を込めて新くんに言った。私一人でマンションにいたら、きっとまだ苦しんでいるに違いない。新くんが私のマンションに来てくれたお陰でこうして熱がが下がったんだ