私と健太は一瞬だけ、目が合った

健太に気付いた新くんが

「ほんとにいたんだ」

「うん」

私の手を思いっきり引っ張り

「撮影続いてるから」

そう言って、私と向かい合わせになり、私の腰に手を置き、見つめ合う形となってしまった

「なんでこんな格好するの!」

「いいから」

「撮り続けて下さい」

新くんがカメラマンに言った

カメラマンがいろいろな角度から写真を撮り、シャッターの音だけがスタジオに響く

私から健太の顔は見えなくて、健太からは私の背中しか見えていない

いきなり、新くんの顔が私に近づき、私は首を引っ込めた

「仕事だろ」

真顔で私を見て言った

「そんな仕事だからって」

「休憩入りまーす」

スタッフの人が叫んだ。私はその声にホッとし、新くんの腕から離れた

健太の方を見ようと思ったら、こっちに向って歩いていた

ちょっと待って・・・周りが気になりキョロキョロしている間に私と新くんの前まで健太が来てしまった

「先日、亜美が酔っ払って迷惑掛けたみたいで」

健太が鋭い目で新くんを見て言った

「寝顔見せてもらいました」

新くんは挑発的な態度で健太を見る

「あまり亜美をからかうのも、どうかと思うけど」

「からかってないっすよ」

健太と新くんはお互い譲らず、お互い言葉を返していた

「Blacksがツアーでいない間、俺が亜美の傍にいるんで心配しなくていっすよ」

と新くんが言った時、健太が新くんの前に一歩前へ出た

「健太、だめ」

私は健太を押さえた

「亜美に手出してみろよ」

「いない奴が悪いんですよ」

そう言って、私と健太の前から歩いていなくなった