眠れなかった…。


昨日、結局あのあとそのまま別れた。


『考えておいてね』


忍君はそういい残して。


付き合う??


私と忍君が…?


でも、私も気づいたことがある。


一緒にいて、ドキドキして、時々胸が苦しくなることを“恋”と言うのなら、私はきっと忍君に…


恋してる。


ちゃんと返事しよう。


教室に入って一番始めに“よろしくお願いします”って。


私は教室の扉を開け、忍君の席に駆け寄る。


「あのね、忍君…」


忍君はそっぽを向いたまま。


忍君…?


「やぁだぁ、本当に話しかけてきた」


え…?


忍君の横にいた女の子がクラス中に聞こえるような声で言う。


「土曜日、忍と遊んだんだって?」


「は…い」


そうだけど…


何でその事をこの子がしっているんだろう…


「あ~ぁだから言ったじゃん。早乙女さんみたいなオタクで真面目な人はからかったら本気にしちゃうって」


からかう??

本気にしちゃう?


どういうこと??


一向にこっちを向かない忍君。


あぁ…そっか。


始めから嘘だったんだ。


『俺のこと惚れさせる』っていったのも、


手を繋いで歩いたことも。

私の話を真剣に聞いてくれたことも、


『付き合お』っていったのも。


全部全部からかってただけだったんだ…


ぽろぽろと流れてきた。


最後に見たのは、忍君の驚いたような顔だった。




何で?何で追ってくるの?

教室から飛び出した私の腕を、忍君につかまれる。


息を整えながら忍君はまっすぐに私を見つめた。


走ってきてくれたの?


そんなことが嬉しくて。

「ごめん。最初は…からかうつもりで話しかけたんだ」


「うん…」


「でも、だんだん真奈美ちゃんのことしって…好きになっていった」


「うん…」


「好きです。付き合ってください」


その言葉をきいてまた流れてくる涙。


それを見てまた慌てる忍君。


マンガやゲームだったらハッピーエンドが当たり前。

だけどリアルはそうじゃない。


だけど…


だから忍君と出会って恋をしたんだよね。


私と忍君の恋はハッピーエンド。


あなたの恋はー…?