待ち合わせの30分前。


私はたくさんの人が行き交う駅の真ん前にいた。


だってリアルで待ち合わせってしたことないから、少し早く来すぎたかも…


なんて思いながら、手にはゲーム機。


雅君との約束も破るわけにはいかないから、私は忍君を待っている間、ゲームをやっていることにした。


『待った?』


雅君ならいくらでもまてるよ。


『手、冷たい。ごめんな。手、繋いでいい?』


もちろん!


ふふっとつい顔がにやける。


「へぇ~。俺も握っていい?手。」


「もちろん…」


って、えっ!?忍君っ!?


声がした方を見てみると、ゲームの画面を覗き込んでいる忍君の姿があった。


「ねぇ、俺もつないでいいの?」


ぎゅっと繋がる手と手。


まだいいって言ってないよ?


どきどきどき。


「でね…」


あれ?おかしいなぁ?


ゲームじゃ手を繋いでも、こんなにドキドキしないよ?


「…で。聞いてる?真奈美ちゃん」


えっ…

「うっ…うん。もちろん!」


「面白いよね?」


何が?


「うん…?面白いよね」


全然聞いてなかったけどこれでいいよねっ!?


「やっぱり!?俺もちょ~好き♪」


何がなんだかわかんないけど、笑ってるからいいや。

ていうか今気づいたんだけど、忍君、目立ちすぎだよ…。


すれ違う女の子たちはちらちらと忍君に視線を送っている。


私…つりあってないよね…

「なあ、今日さ、真奈美ちゃんの好きなところに行こうよ」


「えっ」


「言ったじゃん。俺に惚れさせるって。モテる男は女の子の好きなものぐらいしってなくちゃ」


「ね♪」

って笑う忍君はやっぱりキラキラキラキラしていた。