「お前、首洗いながら来いよ?」


プツン。プー、プー。


「はい!?くっ、首!?もしもし!?もしもーし!……きっ、切れてる!」


白い蛍光灯の明かりが灯ったすき間風の入りまくる厩舎の中に、俺の声だけが響き渡る。


馬房の中にいる馬達は我関せずとばかりにモシャモシャと飼い葉を食う奴、ガフガフと水を飲む奴、尻を向けたままの奴。


そんな中、暗くなった携帯の画面を呆然と見つめて立ち尽くす俺。


通話終了まで、多分2秒もかかってない。


そしてリンが初めて俺を「お前」と呼んだ……。


聞き違いか!?いや、確かに言ってた!しかもどうして俺首洗いながら行くの!?