黒い軽自動車に乗り込む後ろ姿に声をかける。


「今日はありがとね。突然で驚いたけど、来てくれて嬉しかったよ」


あんな部屋を見せてドン引きされなかった事が一番嬉しい。


ドアを閉めるとリンが中から窓を開けた。


「私が晶の顔見たくなっちゃっただけだからさ。怪我、お大事に」


俺は大きめのサンダルを履いた自分の右足を見つめた。


キュルルン、とエンジンのかかる音が響く。


「車運転するの辛いから、少し行けないかもしんないけど……。ごめんね」