「わたっ、私っ、全部消したいっ、ヒック、嫌な記憶っ、もう捨てるううっうええーん!」


しがみつくリンをなだめながら俺は散らばる紙屑の一つを広げた。


そこには見覚えのある文章が。


『消えない消えない消えない!目をつぶると晶と知らない女が幸せそうに笑い合ってる。どうして晶は忘れないのさ?忘れられない思い出だから?……私より?』


一つ、また一つと俺はクシャクシャに丸められた紙を拾い上げた。


『あの無神経さは仕方なかった?私が怒った事ってちっちゃい事だった?でも自分から別れておいて今更どうしたらいい?……会いたいけど私でいいのか自信もないよ』


別れた後もリンは一人で書き続けてたんだ。


俺への気持ちを……。