リンがクイッと肩をすくめた。


「あの人のお節介じゃね?」


……ああ、そうか。やっとわかった。きっと俺は普通にリンがバイトをしてるって聞いても、こんな風に会いに来る事なんて出来なかったよな。それを見越して阿部さんは……。


胸の奥がじんわりと温まる。


そして完全に萎えてた気持ちを奮い立たせた。


ギュッと拳を握りしめ阿部さんの企みに頬を膨らませたリンを真っ直ぐ見る。


「話があるんだ。終わるまで待ってていい?っていうか待ってるから」


一瞬怪訝な表情をしたリンが、腕を組んだままクルッと背を向ける。


「好きにすれば?」


それだけ言い残して人気のない酒屋の中にさっさと入ってしまったリンを、俺はしっかりと見送った。