そんな状態の中、リンからもらったモリモリまで茶色く枯死させてしまい、また俺の部屋には生き物がいなくなった。


全ての気力が削がれた俺は、リンを想うたびどうしてあの別れの日にもっと粘れなかったんだろうと、いつも同じ思考に辿り着いてしまう。


その気持ちがいくら大きくなっても、あの時自信を喪失してリンの決断を受け入れてしまった俺をもうどうする事も出来やしないのに。


……自分を守るためだけに大切なリンにさえ嘘を付いてた罰、なのかな。


「いでっっ!」


不意に後頭部に強い衝撃を感じて、ボーッと厩舎を歩いてた俺は前のめりに転びかけた。


「徳司ー、やたら蝿がたかってるぞ?死にかけてんのか?新しく見付けたイイ店連れてってやるから元気出せって!」


弾けた笑顔の阿部さんに背後からラリアットをくらったらしい。


「……そんな気分じゃないから遠慮するよ。今の俺には蝿がお似合いなんだ」


手で首を押さえ淡々と答える。