「おい、どした!?その怪我!」


小上がりで親指を見て座ってた俺は、なにこそするかわからない阿部さんを警戒しながらいきさつを話した。


「お前、爪はがれてるぞ!?」


いやだから、最初にはがれたって言ったよ。


「とりあえず、なんか巻いとくから大丈夫」


こういう怪我は牧場ではしょっちゅうで、この前なんか調教中の馬から落ちて大腿骨を骨折した奴もいる。


「いかんいかん!おい誰か!酒持って来い!酒!」