「警察に捕まるような男なんか絶対嫌ー!ありえないー!」


「じゃあ騒ぐな!大人しくじっとしとけ!」


「それも嫌!誰か助けてー!」


ピチピチもがくリンを押さえ付けてそんなやり取りを延々繰り返し、俺の長いお仕置きは終わった。


こうやって今リンといられる現実がどんなに幸せか、痛いほど実感しながら。


「そこの白い車の人!この人変態なんです!こっちに気付いてー!」


「アホか!そのうるさい口をふさいでやる!」


「ギャッ、ふぐ!ふがが!ふんぐっ!」


目の前には月夜に照らされた静かなさざ波と、俺を好きなくせにちっとも懐かない猫のようなリン。


俺達は別々の気持ちで月をまたぎ、いつの間にかもう11月を迎えていた。