「ねえ」

急に外から声をかけられたので、私はあわてて涙をぬぐった。

…誰だろう。
女の人の声だ。

「…はい」

私が小さく返事をすると、女の人は姿を現した。
年は私と同じくらい。
髪を全て結い上げていて、さっぱりとした印象の人だ。

「いきなりごめん。貴方もあの男に連れてこらてたの?」

「……そうよ。あなたも?」

私は俯きながら答える。
すると女の人は私の手を強い力でガシッと掴んだ。