そして龍斗は…
怪我を治すほうを選択した。
そのまま学校を辞め、実家に戻るほうを選んだ。
どんな思いだっただろう…。
悔しくて悔しくて仕方なかったはずだ。
初めて聞いた龍斗の夢。
知らなかった過去。
私はこぼれ落ちそうになる涙を必死に堪え、龍斗の目を見つめた。
だけど…
言葉はでてこなかった。
その世界を何も知らない私が易々と
「大変だったね」
「辛かったね」
そんなこと言えるはずがない。
龍斗から聞いた過去を、この先も忘れないようにと心にしっかりと刻むことしかできなかった。
ねぇ…龍ちゃん?
私は今でもね、『スタントマン』て言葉を聞く度にこの日を思い出すんだ。
あなたの強さの裏側を見たこの日を…

