Dear HERO[実話]




自分からキスするなんて…

今まで一度も経験したことがない。



どうしたらいいの?

目は閉じて…

龍斗の唇にそっと近付いて…


…そのとき手は?

どこに置いたらいい?



頭をフル回転させて、心臓はバクバクと鳴っていて今にも爆発しそうだ。



それでも龍斗の眼差しに負けてしまったんだ。

真っ直ぐすぎて引き込まれそうになる瞳に…。



目を閉じると顔をゆっくりと上へ向けた。

心臓の鼓動は抑えられない…。


ただ唇に触れるだけのキス。

触れるか触れないかわからないほどのキス。



それが精一杯ですぐに顔を伏せてしまった。



恥ずかしい…


顔を真っ赤にする私を見て龍斗はクスッと笑う。



「お前のキス…かわいいな……」



その言葉にまた顔が火照りだす。