ねぇ龍ちゃん……
そのステージから私は見えましたか?
私の姿を見つけてくれましたか?
あなたを見つめるこの眼差しは、ちゃんとあなたの元へ届いていたのかな…
今日だけでいいから……
ヒーローの目に映るのは私だけであってほしい。
子どもたちの歓声を聞きながらそう願った。
たった30分のショーは私の心を満たしてくれた。
5年前……
話で聞くことしかできなかった龍斗の夢を、私はこの日この目で見ることができたんだ。
昔描いていた夢ほど大きなものじゃないかもしれない。
それでもステージ上で必死に戦う龍斗の姿はキラキラと輝いていた。
真っ直ぐで真剣で…
強さと暖かさを感じて…
そんなあなたの姿に私の心はまた奪われた。
ヒーローとの写真撮影とサイン会を待つ子どもたちのはしゃぐ声を聞きながら、私は会場からそっと抜け出した。

